三歳児検診をしているときに「うちの子大きすぎないでしょうか?」と質問を受けたことがあります。
確かに身長体重ともに+2SDに達しており、高身長であることは間違いなく、注意は必要となりますが、両親ともに大きくてこれは体質的に大きいので心配は要らないということ、そして大きくていいじゃないですか、スポーツ選手にでもなれるのでは、と説明しましたが「ドンクサくてスポーツだめそうなんです」とのことでした。僕は低身長治療に携わってきたことから、贅沢な悩みだなァと、ふと考えたことがあります。
このように世間一般では身長の高低は主観的なことですが、医学的には異状と判断する境界は常に統計学的観点に立っており、客観的な指標を用いて判定しています。実際には養護の先生方の測定された生徒たちの身長体重を文部科学省で集めて統計処理し、平均や標準偏差を求め標準成長曲線を作っています。
正常と異常の境界をどこに取るかは経験的な判断ですが、-2SDから+2SDの間は正常、それ以外を異常としています。また、2年間にわたって成長率が落ちてしまった場合もいずれ異常の範囲に入ってしまいます。これも注意が必要です。医学的にはこれらを低身長といいます。